人工関節を入れたら、身体障害者手帳は何級になりますか
いまは、人工関節を入れたというだけでは、身体障害者手帳の等級は決まりません。手術のあと、状態が落ち着いた時点で、関節がどのくらい動くか、筋力がどのくらいあるかなどをもとに判定されます。
股関節や膝関節の場合、判定の結果は4級・5級・7級のいずれか、または「どれにもあたらない(非該当)」です。手術の経過がよい方ほど、等級は低くなるか、非該当になります。「手術をしたのに手帳が取れなかった」という方は、少なくありません。
ただ、手帳とは別に「障害年金」という制度があります。障害年金では、人工関節を入れた方は原則として3級にあたります。手帳が取れなかった方も、対象になることがあります。この記事では、手帳のしくみと、障害年金との違いをご説明します。
身体障害者手帳とは
身体障害者手帳は、体に一定以上の障害が続いている方に交付される手帳です。税の控除や各種の割引、福祉サービスを受けるときの証明になります。
申請の窓口と必要なもの
窓口は、お住まいの市区町村の障害福祉の担当課です。申請には、都道府県などから指定を受けた医師(指定医)が書く、手帳用の診断書・意見書が必要です。
等級は1級から6級まで
等級は、障害の重い順に1級から始まります。等級表には7級までありますが、7級の障害が1つだけの場合は、手帳は交付されません。手帳が交付されるのは1級から6級までです。7級にあたる障害が2つ以上重なる場合は、6級として交付されることがあります。
人工関節を入れた場合の手帳の等級
2014年(平成26年)4月に基準が変わりました
以前は、人工関節や人工骨頭を入れると、それだけで等級が決まっていました。股関節と膝関節は一律4級、足関節は一律5級でした。
この扱いが、2014年(平成26年)4月1日以降の申請から見直されました。医療技術が進み、人工関節を入れても大きな支障なく日常生活を送れる方が増えたことが、見直しの背景とされています。
いまの判定のしかた
いまは、手術後の経過が安定した時点での関節の状態で判定されます。
- 股関節・膝関節:4級・5級・7級・非該当のいずれか
- 足関節:5級・6級・7級・非該当のいずれか
おおまかには、関節がほとんど動かない状態や、筋力が大きく落ちている状態が重い等級にあたります。動きの制限が軽い場合は7級、制限がほとんどなければ非該当です。先ほどのとおり、7級だけでは手帳は交付されません。
診断書をいつ書いてもらえるかは、手術後の経過によって変わります。主治医や市区町村の窓口にご相談ください。
見直しの前に手帳を受け取った方
2014年3月までの基準で手帳を受け取った方は、見直しの影響を受けません。あらためて認定を受ける必要もないと、自治体は案内しています。ただし、手帳に再認定の時期が書かれている方などは、扱いが異なる場合があります。お住まいの市区町村にご確認ください。
手帳を持つメリット
手帳があると、次のような制度を利用できる場合があります。
- 税の控除:所得税や住民税の障害者控除
- 医療費の助成:自治体が行う医療費の補助
- 交通機関の割引:鉄道やバスなどの運賃の割引
- 公共施設の割引:自治体の施設などの利用料の割引や免除
ただし、内容は等級や自治体、事業者によって違います。医療費の助成は、重い等級の方に限られる自治体もあります。等級が4級・5級の場合は、対象にならないものもあります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
手帳と障害年金の違い
身体障害者手帳と障害年金は、名前が似ていますが、別々の制度です。窓口も、審査も、等級の決め方も違います。
| 身体障害者手帳 | 障害年金 | |
|---|---|---|
| 窓口 | 市区町村の障害福祉の担当課 | 年金事務所など(日本年金機構) |
| 内容 | 控除・割引・福祉サービスを受けるための証明 | 生活を支えるための年金(現金の給付) |
| 人工関節の扱い | 手術後の関節の動きや筋力で判定。非該当のこともある | 人工関節・人工骨頭を入れた場合は原則3級 |
| 等級 | 1級〜6級 | 1級〜3級(3級は障害厚生年金だけ) |
| 診断書 | 指定医が書く手帳用のもの | 年金用のもの(別に用意します) |
「手帳の3級」と「障害年金の3級」は別のものです
どちらにも「3級」という言葉がありますが、物差しがまったく違います。手帳の等級がそのまま年金の等級になることはありません。
たとえば、手帳が5級の方や、非該当だった方でも、障害年金では3級と認定されることがあります。手帳を持っていなくても、障害年金は請求できます。
反対に、手帳を持っていても、障害年金の条件を満たさなければ年金は受け取れません。2つの制度は、それぞれ別に確かめる必要があります。
人工関節の障害年金の要点
「年金は老後のもの」と思われがちですが、障害年金は現役世代でも受け取れる年金です。人工関節の場合の要点は、次の3つです。
- 人工関節・人工骨頭を入れた方は、原則として3級にあたります。3級は障害厚生年金にしかない等級です。
- 関節の症状で初めて医療機関を受診した日(初診日)に、厚生年金に加入していたことが必要です。初診日に国民年金だけに加入していた場合は、2級以上にあたる状態でないと対象になりません。
- 請求には期限があります。あとから請求する方法(事後重症請求)は、65歳の誕生日の前々日までです。さかのぼって受け取れる場合も、時効により直近5年分までです。
3級の金額は、厚生年金の加入期間と給与によって一人ひとり異なります。最低保障額があり、年額でおよそ60万円台です(年度ごとに改定されます)。3級には、働いていることや収入による支給制限は原則としてありません。障害年金は非課税です。
条件や手続きの詳しい説明は、こちらのコラムをご覧ください。
人工関節(股関節・膝関節)で障害年金はもらえる?原則3級の条件・金額・手続きを社労士が解説
よくあるご質問
手帳がないと、障害年金は請求できませんか?
手帳がなくても請求できます。障害年金の審査に、手帳は必要ありません。手帳が非該当だった方も、障害年金の対象になることがあります。
手帳と障害年金は、両方受けられますか?
受けられます。別々の制度なので、それぞれの条件を満たせば、手帳を持ちながら障害年金を受け取れます。
手帳の申請と年金の請求は、どちらが先ですか?
順番の決まりはありません。同時に進めることもできます。ただし、障害年金は請求が遅れると、受け取れる期間が短くなることがあります。手帳の結果を待たずに、年金の対象になるかを早めに確かめておくことをおすすめします。
手帳の等級で、年金の等級は決まりますか?
決まりません。基準が別なので、手帳が4級や5級でも、非該当でも、人工関節を入れた方は障害年金では原則3級にあたります。ただし、初診日に厚生年金に加入していたことなどの条件があります。
人工関節を入れたら「障害者」になりますか?仕事に影響しますか?
人工関節を入れただけで、自動的に「障害者」として登録されることはありません。手帳は、ご本人が申請して初めて交付されるものです。障害年金も、ご本人が請求する制度です。
手帳を取ったことや、障害年金を受け取っていることが、役所や日本年金機構から勤務先へ知らされることはありません。勤務先に伝えるかどうかは、ご本人が決められます。なお、年末調整で障害者控除を受ける場合は、勤務先への申告が必要です。
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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度です。障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
障害年金はきちんと保険料を納めている方の権利ですので、
障害年金を受け取っていないということは、65歳になっても年金を受け取っていないようなものです。
障害年金を受け取れる方は必ず申請することをお勧めいたします。
障害年金の基礎知識についてはこちら
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